2011年年賀状
今年の年賀状は新年にずれ込んでの印刷でした。大病してからは、時間はたっぷりあるからと焦らなくなってしまいました。いけませんねぇ。
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今年の年賀状は新年にずれ込んでの印刷でした。大病してからは、時間はたっぷりあるからと焦らなくなってしまいました。いけませんねぇ。
江戸町人の公衆マナー(でいいのかな)を説いた本がブームで、絵を付けたのですが、落語通信で学習した江戸風俗の資料が役に立ちました。おしんこやし、漢字を正確に読めた人、尊敬します。で、意味はグルメに走って体を肥やしてばかりではなく、教養も身につけなければ立派な商人になれませんぞ、とのこと。
面白くも何ともない噺を楽しく聞かせるんですから、ものすごい実力だったんでしょうね。この『寿限無』も何本かカセットテープに録音して現役の噺家さんで持っていますが、楽しく聞かせてくれるまではいっていないのが残念。
今年ようやく一年ぶりに落語会へ行けました。次は寄席にと少しずつ欲がでてきて、ま、無理せず動こうと思っています。
で、私も好きな噺家さんの代表作を選んでみました。あくまでも個人的な狭い範囲での独断と偏見ですので、お断りを申しておきます。
名人上手の噺家は代表作(?)が付いているのに、あれほどの名人だった志ん朝さんの代表作が何かを耳にする機会がなかったのが不思議でした。
では平成6年に惜しくも亡くなった二代目桂枝雀(1939ー1999)さんの代表作は、人によって大きく意見が分かれると思いますが、私は昭和55年8月4日にNHKラジオで放送した枝雀五夜のうち第一夜の『船弁慶』を挙げます。
志ん朝さんのお兄さんの十代目金原亭馬生(1928ー1982)さんは、亡くなるまでの前一年が皆すばらしい高座でした。強いて挙げると昭和56年10月22日TBSラジオのゴールデンワイド・ラジオ寄席での『目黒のさんま』と、迂闊にも放送日時が不明ですが、「さんま」の放送前同時期といっても間違いないと思いますが『品川心中』。あ、『抜け雀』もいいな。『笠碁』も・・・。
昭和期最後の名人だった六代目三遊亭圓生(1900ー1979)さんも、代表噺が人によって分かれるところだと思います。私は『乳房榎』が一番魅せられました。
青春時代にアルバイト生活をしながら遣り繰り算段して寄席に行った頃に、まだ前座でしたが後の古今亭志ん馬(1935ー1994)さんの噺に印象が残りました。後にテレビのいじわる婆さんで人気が出て、司会にも手を広げて大活躍しましたが、惜しくも60前で亡くなってしまいました。明るく陽気な高座で『羽織の遊び』『粗忽長屋』『替り目』など・・・面白かったなぁ。
古今亭繋がりで忘れてはならないのが、52歳で彼岸に行ってしまった志ん朝さんの弟子の右朝(1948ー2001)さん。正朝・右朝二人会で正朝さんのファンの私は、右朝さんの高座を斜っかいになって聞いていたのが祟って、素晴らしさが分かりませんでした。亡くなったその年の晦日にTBSラジオで古今亭右朝追悼特集があり、『干物箱』『一分茶番』を聞いて目が覚めたのですが後の祭りでした。
それにもう一人」、昨年61歳で彼岸に行った古今亭志ん五(1949ー2010)さん。落語会では端正な噺に魅了され、これからは志ん五さんの独演会にも積極的に行こうと思っていた矢先これも間に合わずでした。名人上手の道半ばにして彼岸の道に向かった噺家さんたちの噺を、もっと放送で取り上げてもらえるといいんですが・・・。
十代目桂文治(1924ー2004)さんの晩年、東京落語会での『親子酒』が強く印象に残っていますが、なんといっても文治さんの十八番は『堀之内』。文治さんは『あわてもの』というタイトルでやっていました。
文治さんが彼岸に出かけた前年に、五代目春風亭柳昇(1920ー2003)さんが行ってしまいました。テープで楽しく、ライブでは幸福感を与えてくれた貴重な噺家さんでした。十八番は「カラオケ病院」と『雑俳』。他にもありますがもっとも柳昇さんらしい噺だと思います。
陰気でほのぼのというまるで取り合わない二つのイメージが妙に合わさった四代目春風亭柳好(1921ー1992)さんも、忘れられない噺家の一人でした。高座に上がって第一声が「落語をやらせて頂きます」。お歳の割に髪の毛がたっぷりあって真っ黒だったのが妙にひっかかって、それも噺が進むにつれ忘れさせてくれました。。私はこの師匠の『蒟蒻問答』が一押しです。
落語芸術協会ではもう一人、大人の風格を感じさせてくれた三笑亭夢楽(1925ー2005)さん。『ずっこけ』、『押しくら』、『富士詣り』、漫談『世界の珍談奇談』など、下ネタがかった噺が嫌らしくなく、妙に面白かった覚えがあります。
生前はテレビで売れまくった初代林家三平さんは新作落語派か、それとも古典落語の噺家なのか、どちらの枠にも入らないスケールの大きな(?)噺家でした。代表作は『源平盛衰記』と『娘の結婚』。ごくたまに無性に聞きたくなってくる不思議な落語家ですね。
新作落語を聴いていて困ることは、こちらが気持ちよく寝ているときに、突然奇声を発したり大声を出してわざと起こそうとすること。新作派の三代目三遊亭円右(1923ー2006)さんの高座は、地味だった記憶がありますが、ご自身釣りマニアの経験を漫談風にした1990年作の『釣りドキュメンタリー』という傑作が残っています。こういった新作なら大歓迎で、寝るなんて不作法はしないんですがね。
操り踊りが良かった八代目雷門助六さん、上方落語の桂小南さん、子供の頃から落語家だった文朝さん、飄々とした仙人みたいな柳家小せんさん、誰にも真似の出来ない貴重な芸も一緒に彼岸に行ってしまって寂しい限りです。現在は殆どの噺家が大學出。だれの何のネタを聴いても金太郎飴みたいに同じに感じてしまうのは私だけでしょうか。
この作品はフレーベル館発行の「江戸小ばなし」第5巻収録の【寿限無】に新たに色づけしたものです。この他に【金明竹】【黄金餅】【垂乳根】も収録して750円で発売中です。