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コケではなく地衣類

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昨日、ブロックにコケがと書いたが、植物生態写真家の埴 沙萠 先生から「コケではなく地衣類では」というご指摘をいただいた。

webで国立科学博物館の「地衣類の探求」をみると、「地衣類とは、菌類の仲間で、必ず藻類と共生しているという特長をもっています」と書いてある。

 

小学館『日本大百科全書』には
「lichens/【学】Lichenobionta, Lichens 植物体(地衣体)の大部分が菌類の菌糸で構成され、これに緑藻類または藍藻(ランソウ)類が共生関係で入り込んでいる生物群。分類学上は菌類の一群として考える場合が多いが、ときには独立した植物群と考えられたこともある。
〔地衣類の特性〕地衣体のなかでは、藻類と菌類はそれぞれが規則正しく並んでいる。菌類の菌糸は吸器とよばれるもので藻類の一部に付着し、養分を藻類から提供されている。一方、藻類は菌糸に包まれて保護され、水分の供給を受けている。このように地衣体のなかでは菌糸と藻類という2種の異なる生物が共生関係にあるが、こうしてつくられた地衣体は、独立した植物群と同じく、一定の形態、構造、生理的特性をもっている」とある。

こちらのほうが、菌類と藻類との持ちつ持たれつの共生関係がよく分かりますね。

さて、今度は「菌類」「藻類」を『広辞苑』であたってみる。

きん‐るい【菌類】
きのこ・かびなど変形菌・真菌類の総称。糸状の細胞または細胞列(菌糸)から成り、葉緑素を欠き、他の有機物から養分を吸収して生活する。生殖は主として胞子による。担子菌・子嚢菌・接合菌・変形菌・鞭毛菌・不完全菌類に大別され、菌界を構成する。また、広くは細菌・放線菌・真菌類などの総称。

そう‐るい【藻類】(サウ‥)
水産の下等隠花植物中、葉緑素を有して自家栄養を営むものの総称。分類学上の明確な群ではない。水中または湿所に生じ、稀に他に寄生。緑藻・褐藻・紅藻・藍藻・珪藻・車軸藻その他極めて多数の種類を包含する。海藻と淡水藻との別がある。
狭義には緑藻・褐藻・紅藻類の総称。

地衣類を乱暴に説明すると、「キノコのような菌類と金魚藻やノリのような藻類の共生体。菌類は水分を供給し、藻類は光合成により栄養分を供給するという持ちつ持たれつの関係がある」といったところか。

となると、木村真三さんの「特にセシウムやプルトニウムを濃縮する地衣類は汚染度が高く・・・・・・」というレポートが分かってくる。
キノコが放射性物質を濃縮するというのは注意していたのだが、地衣類も濃縮するのだ。マスクもかけずに地衣類を削って、ケルヒャーで吹き飛ばして、ちょっとまずかったかもしれないなあ。

 

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2013年05月30日 10:06に投稿されたエントリーのページです。

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