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天狗裁き

天狗は日本で生まれ育った魔物といえます。天狗の日本での最初の記載は、平安時代中期の天禄〜長徳年間(970〜999)の「宇津保(空穂)物語」。山深い中からの異音を天狗の仕業として「木魂」の存在でした。それ以前は仏典が中国に渡って翻訳されたとき、「流星」の語を中国語で「天狗(あまつきつね)」とあて、地上に災禍をもたらす凶星の意に使われました。

 

天狗が姿を現すのは、鎌倉時代前期の「今昔物語」から。魔性の仏敵として妖術を使い、羽を背に鳥のように飛翔するようになり、室町時代に山伏の隆盛と修験道の発達で山岳信仰と合体。天狗が山の神の霊位を帯び、歴史を動かすほどの魔界の大スターとなります。天狗の魁偉な風貌は、室町時代後期の画家・狩野元信が雅楽の胡徳楽の面を参考に描いたものが広まりました。その天狗も明治時代の修験道禁止で、ほとんど消滅。民話や落語の脇役に甘んじる存在になりました。

 

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2008年01月20日 18:44に投稿されたエントリーのページです。

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