名人上手の噺家は代表作(?)が付いているのに、あれほどの名人だった志ん朝さんの代表作が何かを耳にする機会がなかったのが不思議でした。
私を落語好きにした母親が今でも口にするのが、昭和32・3年頃の三越名人会の事、当時の名人会は落語黄金期で正真正銘の名人たちばかり、志ん生、文楽、三木助、円生、小さんが出演したそうで、強く記憶に残っているのが三代目桂三木助(1902ー1961)の『芝浜』。他の名人たちが何をネタにかけたか忘れたほど良かったとのこと。私も三木助さんの代表作は『芝浜』に異存はありませんが、もう一つ『へっつい幽霊』。