先日、実家に行った時に、若い頃に暇に飽かして作っていた月刊誌の小説新潮やオール読物など、小説を作家別に一冊に纏めた自作製本が棚にあるのを見つけて持って帰ってきた。
画学生時代は、テレビやラジオなど生活の中に無かったので、必然的に本を読む習慣が身についたのが、その後の生活に続いていたと思う。
将来は、挿絵画家も希望していたこともあり、小説の挿絵を集める目的があったので、最盛期は二〜三百冊では収まらないほど、貯まっていたと思う。
持ち帰った本の中の一冊に、梶山俊之著「せどり男爵数奇談」がある。
挿絵は鈴木正さんで、内容とマッチしてことのほか面白く、古書流通の仕組みや、古書収集家から盗書狂に至るまで、若い頃に読み落とした箇所もあり、本の内容が新鮮に頭の中に入ってくる。
こういう時は、近くの病院にいる義母の入院見舞いの、家内の送迎待ちの車の中で繰り返し読んで飽きず、待ち時間も苦にならず、ストレスも貯まらないので良い。