卒寿に近くなる頃から、「記憶力が衰えてきた」「物忘れが激しくなってきた」「呆けてきた」と、口癖のように愚痴をこぼすようになった母に、自伝を薦めたことがある。
若い頃の思い出や、記憶に残る出来事、横浜大空襲の時の家族はどこにいたのか、両親祖父母、親類縁者等を思い出しながら、メモ書きでもいいから書き残すことを薦めて、気分転換をしてもらうつもりだった。
昔から、家族に頭脳明晰を頼られてきて、長い間身に染みていた母からすると、年齢からする脳の劣化で,気丈な母が珍しく弱気になってきていたのではないかと推測する。
子供の頃から皆にみそっかすと言われ続けていた我が身からすると、あ、また、嫌みなことをと、腹立ち紛れに思いついたことでもあった。
書きためたメモを全て読んだ訳ではないが、分かったのは津田家一族は昔から指物師の系譜ということだけ。
母の読みづらい早書き文字の、現在進行のメモを、根気よく解読するのは、今の自分に体力気力が不足しているので自信がありません。