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皆さんは、このようなケガをしたとき、どうしていらっしゃるだろうか? 多分、マ○ロンなどで消毒し、ヨーチンなどを塗って、傷絆創膏を貼るか、傷が大きければガーゼを当てて絆創膏で止める 。これが一般的だと思うが、いまやこの常識がくずれつつある。 『これからの創傷治療』(夏井睦著 医学書院¥2,940)より「外傷治療ー常識の嘘」の一部を引用してみよう(筆者注:創→傷のこと)。 |
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従来の外傷(皮膚外傷)の治療の 原則を列記すると次のようだったと思う。
・創は乾かすと治る。
・創は消毒するものであり、消毒しないと化膿する。
・創はガーゼで覆う。
・創(特に縫合創)は濡らしてはいけない。
しかし、これらはすべて間違っている。正しい知識とは以下のとおりである。
・創は乾かすと治らない。
・消毒しても化膿は防げない。
・消毒は創治癒の妨害行為である。
・皮膚欠損創をガーゼで覆ってはいけない。
・創はよく洗ったほうが良い。
一言で言うと「消毒をしない、ガーゼを当てない皮膚外傷の治療」ということになる。
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これが医学書でなかったら、もう「発掘!あるある大事典」の世界である。
もう少し引用を続ける。34歳女性の症例を提示した後(血を見るのがダメな方はご覧にならない方がよいかもしれません)。
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旧来の治療法しか知らない医師・看護師に、この治療結果はにわかには信じられないかも知れないが、これが現実である。そして人間の身体は本来、このように創を治癒させる能力をもっているのである。そしてこの症例のように治らない(治れない)のは、医師の治療が間違っているからであり、創が治らないように医師が創治癒を妨害しているからにほかならない。
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と、なかなか手厳しい。
何故、傷を消毒したり、乾かしたり、ガーゼを当てるといけないかを簡単にまとめると、つぎのようになる。
1.消毒液はバイ菌(敵)だけでなく自分の再生細胞(味方)も殺してしまう。
2.細胞が再生・生長するには湿潤環境が必要で、乾かすと細胞が干からびて死んでしまう。
3.ガーゼを当てると、再生細胞が ガーゼの繊維を包み込むように生長するので、それを剥がすとせっかくできた皮膚組織が一緒に剥がれてしまい、傷をつくるのに等しくものすごく痛い。
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冒頭に紹介した本は、医療従事者向けなので、一般の方には『さらば消毒とガーゼ』(夏井睦著 春秋社 ¥1,575)がお勧めである。
また、わざわさ本を買わなくても、アクセス数324万を超す夏井先生のサイトもとても参考になる。 夏井先生のサイトには、「当サイトの内容や写真の引用は構いません。どうぞご自由に無断でお使い下さい。事後承諾も不要です」と書いてある。まあ、医学版オープンソースなのだ。
具体的には、1)傷周囲の汚れ(泥や砂)を水道水で湿らせたガーゼなどで拭いて落とす。2)傷口の中に砂や泥が入っていれば、流水で洗う。3)ワセリンをつけた食品用のラップで傷を覆う・・・・・・と極めて簡単なものだ。詳しくは同サイトの「家庭でできるケガの治療」を良く読んで勘所だけはきちんと押さえて欲しい。ただし、傷口の異物がきれいに取れないものは、これをラップで覆うと化膿する恐れがあるので、専門家にまかせるべきだ。
また、食品用のラップに抵抗がある方には、ジョンソン・エンド・ジョンソンからでているキズパワーパッドがお勧めである。