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点検口

点検口

毎年、気象庁の忘年会は、小川知子の「ゆうべの秘密」の2番を大合唱して、盛り上がるのだそうだ。「ゆうべのことはあ〜、もう、い〜わなあい〜でえ〜・・・・・・」と。本当かな。
お天気のことなら、まだ、笑ってすませられるが、これが施主と工務店との関係になってくるとそうもいかなくなる。
こんなことがあった。それは、我が家にOMのシステムが入って、初めての冬であった。前々から工務店も設計者も「OMってそんなに暖かいもんじゃありませんよ」と釘をさしていたが、本当に暖かくなかったのである。昼間はダイレクトゲインで二階はかなり暖かい。おまけになにやら二階の床まで暖かくて、親戚の者にお披露目したときに、叔母などは「床暖房っていいわね」と二階の床をさわっていたくらいである。

しかしである・・・・・・

一階に関しては、ほんわりと心地よい暖かさなどとはいかず、夜ともなればまさに「氷の世界」。二階から階段を降りてくると、あるところに完全に温度の不連続面を感じられるという、なかなか愉快な体験をさせていただいた。

  吹き出し口    
 

1)二階の吹き出し口は、暖かい。2)二階の床も暖かい。3)一階のダクトは冷たいが、はずれていない。4)一階の吹き出し口(ガラリ)は熱気を感じられ ない。

まあ、これだけから考えても、シロウトだって一階の天井裏あたりでダクトがはずれているんじゃないか、と考えるのが妥当だ。でも、工務店のM建設(現 在は自主廃業宣言をして存在しない)は、設計者のN大先生の手前からか、なかなかお認めにならない。よく言えば科学的エビデンスを求めるために、温度とりという一定時間ごとに温度を記録する装置で一週間くらい室温をチェックしたり、一階のダクトに小さな孔を開けて、風量・風速を計るということを行った。


天井裏

一階天井裏のダクトは、銀色のテープが巻い
てある部分がはずれて、温風が吹き出していた。

   

一連の儀式の後に、やっと工務店のY君が棟梁をつれてやってきた。棟梁はノコギリ一本であっという間に、「寒冷紗パテしごき何チャラ」の天井に孔をあ けると、「あっ、こんなこともあるんだ」と 明るい声で叫んだ。予想通り、天井裏のダクトの接続部分がはずれ、そこから温風が吹き出していたのである。

というわけで、わが家のダクトの横の天井には、無粋ではあるが点検口が設けられた。昔の家は大概押し入れの天井に、暗黒の世界への入り口のように天井板が はずれる部分があったが、現在の家はどうなっているのだろうか。また、天井の素材も石膏ボードなどに変わっているので、忍者のように天井裏を動き回った ら、踏み抜いてしまうのではないだろうか。

このような経緯で、はからずもできたわが家の点検口は、その後、イーサネットケーブルや電話線を新たに引き回すのに大活躍し、災い転じて福となしたのであった。

メインテナンスの要諦は何と言っても「easy to access」---如何に簡単にアクセスできるかにつきると思う。家が出来てしまってから、電話の配線を変えたいとか、テレビアンテナの配線を変えたいなどということは良くあることだ。セルフビルダーは工務店に怒りをぶつけるわけにもいかないので、最初から点検口をつけるくらいの用心は必要かもしれない。

Be-h@useは、基本的には二階の床が一階の天井で天井裏というものは存在しない。だから天井裏は心配ないが、床下には必ず点検口を付けたいと思う。何回も登場いただいている山根邸は、床下も点検時に這って動けるように、ある程度の高さをとっているとのことだ。

最後に、ついでですから、今年の忘年会の練習もしておきましょうか。パートが2つに別れてますから気をつけてください。じゃあ、いきますよ。

(工務店パート)

ゆうべのことは もう云わないで

甘えて意地悪 しただけなのよ

(施主パート)

幸せなのに 涙が出るの

貴方にすべてを かけたのだから

(工務店パート)

ゆうべのことは もう云わないで

優しくそっと 見つめて欲しい

(作詞 タマイチコ)

コメント (2)

nak:

非常にいいテーマですね。夕べのことは覚えてませんが・・・
わが山房の点検口は地下の床に一つだけ、それもトラブルが発生してから作ったものです。
床、壁を張る前に、配線を終わらなきゃぁと急いで作業。結果、点検口なし。これからトラブルのたびに点検口が増えて来そうです。
大切なのは改造・改良を想定した、或いはトラブルを予想しての計画ですね。

yum:

nakさんコメント有り難うございます。あの配線用のプラスチック製の鞘・・・・・・モールというんでしょか。あれだけは、絶対つけたくないなと思うものですから。

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2007年07月11日 07:59に投稿されたエントリーのページです。

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