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ブリコラージュ bricolage

このブログの名前 Be-selfbuilders の selfbuilders は、セルフビルドする人「自分自身で作る人」という意味です。「セルフビルド」は、Do It Yourself の「DIY」とも同じくです。

フランスでは、「セルフビルド」「DIY」にあたる言葉に、ちょっと聞きなれない言葉ですが、このブリコラージュ bricolage という言葉があります。身のまわりにあるありあわせの道具・材料で手作りするという意味で、「器用仕事」と和訳されるようです。
その語源であるブリコレ bricoler という動詞は、古くから球技、狩猟、馬術に用いられ、ボールが跳ね返る、犬が迷う、馬が障害物を避ける等の非本来的な偶発的な運動を指しているそうで、「ブリコラージュ」は同じ「作る」ということでも、いわゆる「セルフビルド」や「DIY」という言葉とは違った意味合いを持っているもののようです。

この言葉は、人類学者レヴィ=ストロースが著作「野生の思考」で未開社会特有の思考法を考える言葉として用い、現代の我々の思考様式にもそれが存在することを記述したため、我々にも親しいものとなったのです。

この「ブリコラージュ」は「Be-h@usの本」で栗田伸一氏が一章(092~093 [ビルド] ブリコラージュ)を割いています。
そこには氏が幼少の頃から、自宅の縁の下にストックされた材料によって祖父、父、本人の三代が、箱ソリから鉄棒、そしてエレキギターまで作ったという体験から、レヴィ=ストロースのブリコラージュの記述に出会った事が書かれています。

............ブリコルール(bricoleur ブリコラージュする人 器用人)は多種多様の仕事をやることができる。しかしながらエンジニアとはちがって、仕事の一つ一つについてその計画に即して考案され購入された材料や器具がなければ手が下せぬというようなことはない。彼の使う資材の世界は閉じている。そして「もちあわせ」、すなわちそのときそのとき限られた道具と材料の集合で何とかするというのがゲームの規則である。しかも、もちあわせの道具や材料は雑多でまとまりがない。なぜなら「もちあわせ」の内容構成は、目下の計画にも、またいかなる特定の計画にも無関係で、偶然の結果できたものだからである。すなわち、いろいろな機会にストックが更新され増加し、また前にものを作ったり壊したりしたときの残りもので維持されているのである。............
レヴィ=ストロース 著 大橋保夫 訳「野生の思考」第1章 具体の科学 23頁

「物を作る」ということに慣れた人にとって、ありあわせの道具と材料を元に何かを作ろうとすること、例えば、捨てられた空き缶で、ケロシン・ランプを作ったり... しようと考えることはごく一般的なことです。又「これはまだ何かの役に立つ」と思って、何か目的があるわけではなくても、引き出しの中に、ガレージの奥に何かをストックする行動も一般的なよくある事です。
何かを作るために新しく材料を買いそろえるのではなく、すでに有る物の特性を生かし最大限に活用する。又、その物の本来の用途から大きく逸脱させて新たな物を作り出す。そんな世界に意表をつかれ、人の持つ可能性、知恵と想像力に感銘する事がよくあります。

最近、BARRACK finder に登場するバラック群は、皆、ブリコラージュの結果ではないかと考えるにいたりました。
この考え方こそ Be-h@us の概念、Be 的な.....へと昇華できるのではないかと考えています。

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2007年09月20日 12:37に投稿されたエントリーのページです。

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