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うま三題 その3

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 設計の秋山先生が、何やらボロボロの段ボール箱を大事そうに抱えてやってきた。その箱にはCLIPFIX made in west germanyと書かれており、2X4のブリキの金具のようなものが4つ入っていた。昔、銀座伊東屋で売っていたこのドイツ製の金具を買い占めて、事務所の製図台は、皆この金具を使って組み立てたとのことだ。その大事な一つをいただいた。


手元にこの金具に使う4cmX6cmの角材が無かったので、それに近い角材を頭の部分だけ削って作ったのがこの写真のうまだ。アメリカでもSaw Horse Brackets(ノコ曳き用馬金具) という名前で2X4の角材が使えるものが売られているが、似て非なるものだ。

 

clipfix01

その違いは、パッケージにさりげなく書かれた3つの特徴 「釘、ネジ、接着剤不要」という言葉に集約されている。しかもパーツはブリキの板?を打ち抜いた、数枚のパーツしか使っていない。

金具に挿入した角材および上部に渡す横木を、とても巧みに固定できるように設計されているのだ。詳しくは秋山先生のホームページに書かれているので、そちらを参照して欲しい。また、clipfixでインターネットを検索すると、スキーのシールしか出てこないので、現在はもうメーカーが無くなってしまったのかもしれない。

得てして物事の本質は、中枢より抹消に現れるという。
秋の高い空を渡ってくる風のなかに、すっくと立つ馬をみていると、「はっはっ、設計とはこうやるものさ」とこの小さな金具が、さりげなく、しかし誇らしく、物静かに語っているように思えてくる。
 

コメント (6)

AKi:

馬が立ちましたですね。
この足の材料4cmX6cmという材は、きっと、ドイツでは一般的な規格なんでしょうね。日本で言えば「イッサンインゴ(ニがあるのかどうか)」みたいな物なんじゃないかと思います。上部の横木、これは2X4あるいは2X6が適当なようです。
昔、アメリカ留学経験のある建築家・内藤恒方先輩に聞いた、アメリカの建築学生は製図板を支えるのに皆大工用の馬を用意する.....という話を聞いて、探したりしたのですが、インターネットもない時代には手に入りませんでした。このドイツ製の金物は偶然に手に入れたものです。
その後、結局はスティールフレームで脚を作って......ということになってしまいました。馬は脚になっても、この脚は馬の代わりはつとまらない......ということになってしまいました。
http://bevstandard.landship.sub.jp/?eid=713986

yum:

AKiさま

馬の角材をもう少しキレイなものに代えて、家宝として使わせていただこうと思います。
有り難うございました。

AKi:

喜んでいただいてうれしいです。
沢山あったのにいつのまにか、デッドストックが一箱.....ということになってしまいました。
やっと、本来の用途である「馬」に使われて、私もうれしいです。

nak:

ドイツ製には驚きました。それも製図台用に求められたものを再利用とは・・・

実は小生も同じものを使っています、墨汁塗りで載せた写真は見にくいですが、これは8年前にアメリカで買ったものです。
当時、日本ではうまもhorse braketsも売っていませんでしたので、自分で作るしかなかったです。サイズは2x4材用になっています。

yum:

nakさま

確かに2x4材が使えると楽ですね。
horse bracketの後ろにある、T字型の馬は自作でしょうか。

nak:

yumさま、

はい、すべて自分で作りました。
書き忘れましたが、アメリカ製は安物です。

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2008年09月18日 09:48に投稿されたエントリーのページです。

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