代表的な上方落語のひとつ。この「壺算」ということばは、明治の末頃まで、大阪で日常ごく普通の会話に使われていたいう説があり、考え違い、見込み違いの計算のことをいうそうです。
この噺は、延享4年(1747)版の軽口本、「算用多くして銭足らず」という小咄が原型のようです。大阪では水壺ですが、関東では水瓶といういい方ですので、本来の「これがほんまの壺算用や」というサゲや、二代目桂枝雀さんの「・・・こっちの思うツボや」のオチは、関東では噺の題名とは合いません。演者のサゲの工夫を楽しむ噺のひとつといえます。
落語黄金期では、八代目桂文楽の弟子で「水道のゴム屋」「妻の釣り」など創作物でも人気があった六代目三升家小勝(1908〜71) の十八番でした。現在は立川志の輔さん桂歌丸さんも演っていますが、個人的には当代権太楼さんの「壺算」がおススメです。