泉岳寺近くの長屋の浪人、千代田卜斎(ぼくさい)から、売れたら折半という約束で、二百文で仏像を預かったくず屋の清兵衛。これを細川家の家臣、高木作左衛門が三百文で買ってくれた。この仏像を作左衛門が洗うと、台座の紙が破れて中から五十両の金が出た。
「仏像は買ったが、中の五十両の金まで買った覚えはない。売った者に返してやりたい」と、清兵衛さんが作左衛門から預かった五十両と百五十文を、長屋に持って行くと、すでに売ってしまった物と、ト斎は頑として受け取らない。作左衛門は返してこいの一点張り。困り果てた清兵衛は卜斎の家主に相談すると、「昔から百両の抵当(かた)に編み笠一蓋(いちがい)」という、何か物を渡せば金をもらったことにならないからと納得させ、卜斎が普段使っている茶碗を抵当に金を受け取らせた。ウゥッ、いい噺だなぁ。