高麗時代末期から李朝前期(十四世紀)に、朝鮮半島で焼かれた茶碗。高麗茶碗のなかの代表的なものがこの井戸の茶碗。茶会記に初めて載ったのは天文六年(1537)、日本に来たのは十六世紀前半。茶道具として喜ばれたのは十六世紀後半からのようです。
井戸の名の由来は諸説ありますが、奈良興福寺の寺侍、井戸某所有の茶碗が茶人の間で名高かった説が有名です。
大井戸、青井戸、小井戸、小貫入、井戸脇などに分類され、高麗青磁や李朝白磁より数多く国宝や重要文化財に指定されています。韓国では生活雑器の量産品扱いで、近年まで見向きもされなかったようです。先日テレビ鑑定団で火事焼けで釉薬がブツブツのおシャカになった井戸茶碗が出品され、それでも数百万円の値が付いていましたね。火事焼けの物ですよ。