四人部屋の向かいのベッドに居たのがシバさん(仮名)69歳。
強面ですが職人肌で、私と同じような気質のようで、人付き合いは苦手なようでしたが、病院内の女性患者の輪のなかにまで入れてもらって人脈を広げてくれた恩人でした。
馬が合うというのか、シバさんも集団生活で感情をモロ出しする輩を避けていたフシがありました。
この病気は脳のダメージを負った部位によっては、感情がコントロール出来にくくなるようで、会話中突然泣かれたり、訳もなく当たり散らす輩がいるんですね。ま、病気だから仕方がないんですが。居たんですね、近くに。いやぁ、弱りましたですよ。
シバさんからもらった印象深かい忠告のひとつに「看護士には絶対逆らってはいけない」
当たり前と言えば当たり前なんですが、私がこの部屋に入る前の御仁がそうだったようで、いろいろ興味深いエピソードを聞いて、素直にこの忠告に従いましたね。
その後の闘病生活がいろいろな面で楽になり随分助けられました。
他の闘病仲間も似たり寄ったりでシバさんも、毎日ジョギングして健康生活を送っていたそうですが、酒好きが祟って左半身麻痺に。
退院前の一時帰宅のとき、家族旅行に行って温泉で晩酌を頼んだときに、長男にきつく叱られたと愛好をくづしていたのが印象的でした。
入院時80キロ近くあったそうですが、退院時はスリムになって60キロ台とのこと。
約50日のお付き合いでした。