外の風景を見て、後ろを振り返ると80メートル弱のまっすぐに伸びた廊下が目に入ります。
南非常口の強い光で、廊下を忙しく歩き回る看護士のシルエットが、一ヶ月も入院していると歩き癖で、どの看護士かが分かってきます。
この廊下を使ってリハビリ訓練の合間に歩行の練習をするわけですが、私の場合理学療法士のI先生と主治医の判断で自主的に歩行をさせてもらえなかったのが唯一の不満でした。
と、言うのは表向きで、生来の怠け者でへそ曲がりの私は訓練とか練習なんざまっぴら、助かっていたのは事実です。
いつまで経っても変化無しで、普通に歩いているつもりでも左足のつま先がリノリウムの床にひっかかってしまうためなんですが、退院が見えて来た頃ようやく重い腰をあげて(自主練で)若い看護士に付き添ってもらって廊下で練習も冷や冷やモノらしく、転倒の心配をされて「キャッ」とか「エッ」という短い悲鳴が、真横からのべつまくなしに聞こえてきて集中して歩くことが出来ずうるさいのなんの。
結果付き添いを嫌がられ(たのかは知りませんが)退院まで一人で歩ける自主練は許可が下りませんでした。
今も歩きはほんの少しの進歩と思いますが、脚力が少し付いたのと、幸運で(もありますが)家の中でも外出時でも転倒は一度もなく免れています。結構動き回っていると思うんですがね。
二ヶ月目に入ると理学療法のリハビリに坂道と階段の上り下りが加わります。