私には理学療法の訓練中は、よそ見する余裕などありませんでしたが、訓練も回数を重ねるごとに慣れて日を重ねると、顔見知りの患者のダメージが素人目におよそどの程度か分かってきます。
同室のテラ氏の歩きは補助装具を必要としなかったし、歩きの回復は目に見えて上達してるように身請け、床に座って自力で立ち上がれてもいたし、主治医から訓練時間外に廊下での自主歩行の許可が早々に出たくらいだったので、その帰宅後の不安は考えすぎじゃないかと思って、自宅に戻ればすぐに以前の生活ができるよと、軽く言ったところ、テラ氏の感情の堰が切れたようで、突然怒りに点火して大爆発!私はその爆風をモロに受けてしまいました。
迂闊にも6月に入ってテラ氏の感情失禁が途切れていたので、忘れていたんですね。
食事中の周りの人たちはテラ氏が何を怒って居るのか見当が付かず見事に目がテン。私は唖然呆然何が何やら分かりませず、テラ氏の退院まで爆弾を抱えるような気まずい日々が続いてしまいました。
この大爆発も現在思い返してみるに、医者でもないのに分かったような、と受け取られかねない言葉にあったのかも知れません。
この日を境にテラ氏のお守りに廻されていた私の厄介な役回りは無くなったんですが、迂闊なナグサメ言葉は危険を孕むってのを肝に銘じましたよ。クワバラ、クワバラ。