もう、30年近く前になるが、館林市内を車で動き廻っていた時に、一瞬目に入った平屋に一目惚れした家が現在でもある。
その頃と今も、不思議とこの家の印象は変わっていない。
外観の印象は診療所のように見えたが、一体何の仕事をしている家か謎のままで、今は無住のようにも思える。
道路沿いに南天の植え込みを目塞ぎに、ひっそりとした佇まいが脳裏に焼き付き、この家を自分のモノにしたいなど、身勝手な妄想に耽っている。
赤貧洗うがごとしの職人を自覚しているが、この家の前を通る度に、適わぬ想いだけは相変わらず続いている。