津田家は女系家族だった。
長女(母)を筆頭に女が8人、男3人だったが、今は90歳の長女を筆頭に4女と7女、84歳の長男と、ドベの私の5人になってしまった。
ちなみにすぐ上の姉の7女と、私の年齢差は6年。
家族の中で、思春期の時期に男子としての扱いを受けた覚えは無く、犬猫や、路傍の石ころと同じ扱いだったと記憶している。
一方、家内の方は兄弟男女2人づつ。
明らかに違っているのは、両親に対する愛情が細やかなこと。
96歳の義母の体調不良で、未だに入院が長引き、毎日欠かさず義姉と家内は、病院へ見舞いに行っている。
一方、津田家の方は、20年前に身罷った養母(祖母)の臨終の時、4女と6女の二人は、息を引き取る間近の母の横で、臨終予想を語り、突然、膝を立てて寝ていた母の膝を、力尽くで真っ直ぐにしたのを目撃した。
理由を聞くと、イタズラが見つかった子供のような笑顔で言った理由は、膝を立てたままだと、棺桶に入らないから。
意識が無いように見えても、この時は「痛ッ」と母の意識が一瞬戻ったかのように思えた。
ドライと言えば聞こえはいいが、こんな家族の中で育った私が影響を受けない訳は無いと思っている。
ちなみに、家族の中でこの4女の姉がいちばん好きなのである。