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さや管ヘッダー工法

セルフビルドでやった給水・給湯設備の配管

水回りの配管というと、塩ビのパイプを用いるのが一般的だが、最近は一般の家庭でも「さや管ヘッダー工法」といって樹脂管を使う方法が注目されている。

Be013の山根氏は、ご実家が設備工事業ということもあり、お父上の協力も得て、水回り、OMソーラーのお湯取り関係の配管をご自分でおやりになったという。 そこで、山根氏にさや管ヘッダー工法のポイントについてお伺いした。

 ●さや管ヘッダー工法とは

1.特徴

さや管ヘッダー工法のヘッダー工法とは、給水及び給湯用のヘッダー(LANで使うハブのようなもの)を設置し、そこからパイプを分配して各水栓器具へ配管するものをいう。 その際、さや管とよばれる文字通り「さや」となるチューブを設置し、その中にパイプ(樹脂管)を配管する方法が「さや管ヘッダー工法」である。

このように「さや管ヘッダー工法」では、さや管とパイプの二重構造とし、配管をセパレート化してあるので、配管が劣化した際にパイプの更新を家の構造を傷つけることなく容易に行なうことができる。主な特徴をまとめると次のようになる。

1)衛生・安全性
  パイプは樹脂管のため錆びないので、赤水発生の心配がない。また、樹脂管の腐食による漏水トラブルが発生しない。
 2)耐久性
 ・パイプが樹脂管のため、長期間にわたり優れた耐熱性・耐久性がある。
 3)快適性
・「ヘッダー」で分岐するため、先分岐工法に比べて、複数の水栓器具を同時使用したとき、流量変動が小さい。また、配管長が短く樹脂管の熱伝導率が小さいため、湯待ち時間が短縮できる。
4)施工性

・施工に当っては、多くのワンタッチ継手が発売されており、熟練した技術や特殊な工具や機械を必要としない。
・樹脂管及びさや管は、金属管より軽く、長尺、可とう性があるので、取り扱いが容易。さらに、接続箇所がヘッダーと水栓側の2か所と少ないので、作業時間が短縮可能。
・樹脂管は後で通すため、樹脂管への釘打ちなど、他業種とのトラブルも低減できる。 

 5)結露防止
・さや管内部の空気層による断熱により、裸配管に比べて結露が起きにくく、給湯配管では保温効果が期待できる。


2.施工のポイント

1) 水周りの計画に、排水管やその他の設備の計画を考慮し、きちんと設計してから行なう。排水は、自然勾配を利用して水を流す設備のため、設計段階で十分検討する必要がある。
2) ヘッダーは点検が容易にできる場所に設置する。
3) さや管は床板を張る前に床転がしで配管し、一定間隔にサドルバンドで固定する。
4) 水栓ジョイントを壁に出す場合は、水栓ジョイントボックスを取付け、床から出す場合は、たて型水栓ジョイントを取付ける。
    なお、ハーフビルドの場合は、壁に水栓ジョイントボックスを取付けるときは、取付けるタイミングを大工と調整する必要がある。

5) 樹脂管は、その他の工事とスケジュールを調整し、後日配管する。
6) 樹脂管は、さや管に無理な曲げや極端な不陸があると通らない場合がある。施工要領書を参考にさや管は無理のない配管をする。


3.セルフビルド可能か?

いろいろな規制があると思うが、材料や道具さえ手に入ればセルフビルドできると思う。メーカーによっては、施工要領書などもできる環境にある。あとはBe-worksなどがセルフビルダーをどのようにサポートできるか次第だと思う。

水周りの設備工事は、給水、給湯だけではない。その他にも排水(浄化槽を含む)、温水暖房、強制追炊きなど色々とある。だから、水周りの設備をセルフビルドするにあたり、どこを業者に任せ、どこを自分でやるか、全て自分で行なうのか、計画段階で決めておくことが大切。

-原則論-
井戸などの自家用水道であれば自己責任において、セルフビルダーでも施工が可能だと思われる。配管材料について、現在はインターネット等でも販売されており、また、メーカーによっては施工要領書のPDFもダウンロードできる。
ただし、自治体による水道や別荘地の簡易水道等は、給水装置主任技術者(国家資格者)の監理のもと工事を行なう必要があり、セルフビルダーでは行なえない場合があるので注意しなければならない。







 

コメント (1)

yum:

山根さん、以前いただいた大作をこういう形でまとめさせていただきました。ありがとうございます。文字だけだと、ちょっとさびしいので、追々ヒマをみつけて、写真も入れていきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。

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2007年07月09日 22:11に投稿されたエントリーのページです。

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