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この写真は、わが家のトイレと階段下にある「片開き網戸」である。
まだ、わが家が出来る前に見学に行った与野の豪農の家---なにしろ門構えからしてすごい。門屋敷?というのだろうか、これがわが家全体の広さくらいある。---豪農の館で、この「片開き網戸」なるものを見たときは、何て美しいんだろうと感動したものである。
そして、わが家の設計図にこの「片開き網戸」を発見したときには、妻と手を取り合って感激した・・・・・・ちょっと大げさかな。ただ、できあがって住み始めてみると、わが家のような狭小住宅ではちょっと困ったこともあるのだ。
宮脇檀の住宅設計テキスト(宮脇檀建築研究室編 丸善 ¥2,800)の「窓の様々な役割を整理する」をみると、次のようなことが書いてある。
開口部というのは、洋の東西でその扱いに違いがあるが、それぞれ単純ではなく、いろいろな機能が複合されたものであることは共通している。 窓を通して内外が見えるという、視線をつなぐものでもあるし、建具を閉めることによって内外を遮断するものでもあるし、そこから入る音や光を調整するとい う導入の装置でもあるし、そこから風を通して室内の環境を良くするための装置でもある。さまざまな機能が複合されたものを、われわれは一般に窓という形で 理解していたけれども、そのそれぞれの役割の部分をはっきり分けて一つの窓をつくる方法もないわけではない。 |
今回のタイトルを「片開き窓をめぐる問題」としようと思ったのだが、やはり「さまざまな機能が複合されたもの」というのが重要なんですね。
では、問題を順に整理してみよう。
1)片開きというところからくる問題
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昼間から電気をつけるのはいやなので、網戸を開けると、トイレも階段下も通せんぼ。これは困った!では、トイレも階段下も手すりが無ければ問題が無いかというと、蝶番が180度までは開かない構造になっている。
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ちなみに、階上の網戸はご覧のように問題ない。片開きというのは「着物の袷(あわせ)」のように「どっち開き」というのがあるのだろうか(もちろん外の窓との関係もあるが)。
2)採光と採風の問題
網戸の寸法を測って開口率を計算してみると、30%弱であった。採光に関しては、板の厚みと入射角度を考えるともう少し減るはずである。どうりで暗くなるわけだ。
3)二つの機能を持たせたことによる問題
前述の開口率からみると、この網戸には、直射光を減らそうというブラインドの機能も含まれていると思われる。
台風の過ぎ去った日など、高く青く澄み切った空から、風と光を入れようと、外側の窓も網戸も開け放つと・・・・・・おや、蚊も一緒に飛び込んでくる。どうもいくつかの機能を一つにまとめると具合が悪いようだ。
4)掃除の問題
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毎年、暮れになると28x9=252個の開口部を掃除するのは私の仕事だ。3つの窓で計756個の開口部を綿棒で一つ一つ掃除すると、設計者を呪いたくなります。 というように、窓というのは「さまざまな機能が複合されたもの」だけに、むずかしいですね。 |
コメント (3)
すばらしく見える網戸でも、いろんな問題があることがよく分かりました。設計者がユーザーのことを何も考えてないと言う意味では、窓についても「そのうち慣れますよ」ですね。
実は、同じ網戸が設計上当方にも2枚組み込まれていますが、まだ手掛けておりません。掃除しやすいように考えてから作りたいと思います。
投稿者: nak | 2007年08月04日 11:18
日時: 2007年08月04日 11:18
nak様
わが家を建ててくれた大工さんが、これは凄いとしきりに感心していました。トリマーなんかでなく、nakさんのあの立派な機械をもってすれば、この組み木細工のような格子戸も簡単にできるのでしょうか。
開き戸の問題は、蝶番のつけかたを工夫すれば、開けたときにぺたんと壁に押しつけられるようにできると思います。
素朴な疑問ですけど、網戸と格子戸は別にしたら、間抜けでしょうか。
芸大の建築の人達のお得意な分厚い戸袋を作らなくても、網戸と格子戸くらいは格納できると思うのですが・・・・・・
夏は網戸だけ使いたいときもあるんです。
投稿者: yum | 2007年08月04日 21:41
日時: 2007年08月04日 21:41
網戸と格子戸を別にするのはいいアイデアですね。
引き戸の場合、いずれも25-30mmの厚みになり、二つ間を10mm空けると結構な厚みになるかと思います。
素人が精度を出すには機械に頼るところが大きいのですが、この格子戸を作るのは結構手間もかかりますし、そう簡単ではないでしょうね。
投稿者: nak | 2007年08月06日 07:40
日時: 2007年08月06日 07:40