これはイケアで買ったフライ返しだ。柄の部分が重く頑丈にできているのだが、これがあだとなって、フライパンの縁に置いた途端、とんぼを切って床に着地する。
コマネチ(ちょっと古いかな)なら許してしまうが、フライ返しのとんぼ返りというのはいただけない。
何遍もひどい目にあったので、ノコギリで柄の部分のプラスチックに切れ込みを入れて、柄のブラスチック部分を短くした。本当は短くする前の写真をとっておけばよかったのだが、この状態で重心の位置は▲印のところだから、短くする以前はもっと後ろにあったわけだ。
だから、フライ返しをフライパンの縁に置くと、丁度プラスチックの柄と金属部分の境(現在の重心あたり)を支点として面白いようにトンボ返りする。全く重心のデザインができていないのだ。最初から重心のデザインが出来ていなかったのか、はたまた東南アジアで作らせているうちに狂ってしまったのか・・・・・・? イケアというのは、製品のチェックをしないのだろうか!!
一方、こちらは私が愛用している包丁。
上から木屋の菜切鎌型包丁(刃渡り約170mm)、東源正久(あずまみなもとまさひさ)の薄刃洋包丁(刃渡り約215mm)、築地有次の柳刃包丁(刃渡り約235mm)。
工業デザイナーの秋岡芳夫さんの新和風のすすめ(佼正出版社)に重さのデザインについて面白い文章がのっていたので引用します。
包丁の目には見えない機能 ・・・・・・かって菜切り包丁は、驚くほど正確な目方と重心(バランス)に作られていました。私も日本各地の包丁を集めて、いろいろなテストをしてみましたが、形はさまざまでも、目方だけはみごとにほぼ百四十五グラムに揃っていました。 切れ味のいい、使いやすい菜切り包丁というのは重心(バランス)のいい包丁のことです。頭が重かったり、あるいは軽すぎたりして重心が悪いと、バランスが くずれて使いにくい。菜切り包丁の重心は、かって、柄の付け根から指二本くらい前のところにくるようになっていました。そこをつまんでぶらさげると、バラ ンスがとれて包丁は水平になりました。(中略) ゾリンゲンの包丁は最高、といわれますが、何かもうひとつ使いにくい。その理由は簡単。重心が下がりすぎているからです。ゾリンゲンのような、重心が柄の なかにある包丁は、逆手に持ち肉を裂いたりするのにはいいのですが、日本のように、軽く包丁に手を添えて刻みものをやるのには、この重心では使いにくいの です。・・・・・・ |
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試しに包丁の重さを計ってみると、木屋130g、東源正久145g、築地有次145g。重心の位置は、木屋と築地有次が付け根から指二本くらい。東源正久が丁度付け根くらいと、ちょっと後ろぎみであった。確かに、重さ・重心というのもデザインのうちなのである。
コメント (4)
yumさま
さすが!yumさま、重心の据わったコメントありがとう御座います。
思わず我が家の台所を見渡してしまいました。
捜査の結果、該当する犯人はいませんでしたが、若干一名不信者の鍋が隠れていました。
アルミ薄肉の片手鍋で、その体重の割りにエボナイトの腕太でして、中身か空っぽ寸前にウッカリ柄に触れようものなら、最後の中身が飛び散ります。
逆メタボで注意しておきます。
投稿者: go-shiyo | 2008年05月02日 23:55
日時: 2008年05月02日 23:55
yumさま、
包丁の重心など、考えたこともなく、ほとんど包丁を使いませんので、愛用の包丁をお持ちの方をまずは尊敬させていただきます。
先日イケアで鏡を買ったのですが、説明書の取付け方法が左右逆になっていたので、取付に出間取りました。メールで苦情を書きましたが、説明書を改良するのかどうか分からないような回答で、価格は魅力的ですが少しイケアに対する不満が残っています。
投稿者: nak | 2008年05月03日 09:06
日時: 2008年05月03日 09:06
go-shiyoさま
機械屋さんは手秤りの感覚がするどいといわれてますね。重さだけでなく、表面の仕上げの程度なども・・・・・・大兄も研鑽につとめていらっしゃるのでは。
投稿者: yum | 2008年05月04日 05:40
日時: 2008年05月04日 05:40
nakさま
愛用の包丁なんて、ちょっと大げさでした。nozさんのようなプロはきっと色々持っていらっしゃるんでしょうね。
「説明書の取り付け方法が左右逆」なんていうのは、困ったもんです。また、そのフォローも悪いというのも・・・・・・きちんとしたマニュアルというのは、ヨーロッパではなくアメリカの文化なのかもしれませんね。
投稿者: yum | 2008年05月04日 05:57
日時: 2008年05月04日 05:57