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凍結深度の謎

ちょっと長い前フリ

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 本当は「凍る不凍栓顛末記その後」にあたるものなので、今までの経過を含めてちょっと整理しておく。まずは不凍栓の原理から(図は竹村製作所のものを引用させていただいています)。

不凍栓の原理というのは、「水道管に水があるから凍る。じゃあ水を抜いてしまえ。さあ、どうだ」というものだ(むかしは「胃がんになるのは胃があるからだ。じゃあとってしまえ」なんていう乱暴な手術もあったとか)。

ところが、我が家の不凍栓は凍る。凍るというのは「水抜きができてない」からだと考え、まず、④以下の部分に砕石を入れて排水をしやすい環境にしてみた。しかし、凍る。

そこで、今度は②の部分のコマの空気の抜けが悪くて水が抜けないと考え、コマを「吊りコマ」というものに変えてみた。それでも凍る。

もういちど見なおして、実際に地面を掘り返して不凍栓の排水部をチェックしてみた。すると水道屋が「凍結深度の60cmはクリアしています」というのは大嘘で40cm強しかない。地下の部分で凍っているのだろうか。それで、きちんと凍結深度以上にするように改善をお願いしているというのが現状だ。


そんな折、植物生態写真家の埴 沙萠 先生から、次のようなデータをいただいた。

凍結深度は都市伝説か

thermo01 先生はもう何年にもわたって、地下10・30・50・100 センチの地温データをとり続けている。
そのデータを拝見すると、地表温度がマイナス12度でも地下30cmの地温はプラス3~4度で安定している。土の断熱度はかなり高いのである。

では、我々が寒冷地に家を建てるときに、金科玉条としている凍結深度とは何を根拠にしているのだろうか。市役所に電話してみたが、水道課や土木課をたらい回しされたあげく結局何が根拠になっているのかは分からなかった。都市伝説なのだろうか。

実際の地温を調べてみた

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埴先生のところとは土の条件も違うだろうからと、実際に不凍栓排水部の深さ---地下40cm強の地温を測定してみた。

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使用したのはいつも気温の測定に使う「おんどとり」。このセンサーをステンレスのチューブに通した。センサー部分はビニール袋に入れてある。

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「おんどとり」は本体にも温度のセンサーがあるのに、温度を2チャンネル測れなくて、測定できるのは温度1チャンネル湿度1チャンネルのみ。何とかして欲しいぜ。気温はしょうがないので、別の温度計で測定したところ、朝6時にマイナス8.6度であった。

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16時30分から30分置きに翌日の 17時30分まで記録したのをグラフ化してみた。

地温はご覧のようにプラス6度くらいでマイナスにはならない。地下40cmが零度以下になるのは、気温がどのくらいの時なのか、はたまた「凍結深度」とは一体何なのだろうか。何だか「凍結深度」という言葉だけが独り歩きしているようである。

解決策は

 

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 以上のことから考えると、「不凍栓が凍るのは結局水抜きがうまく出来ていないから」という最初の結論に達する。

不凍栓の上部は「吊りコマ」に変えたので、原因は排水部の水抜きが悪いからではないのだろうか。最初に砕石を入れる時に細かい砕石を3袋ばかり入れていたが、掘り返してみると砕石は排水管の周りにはあるのだが、肝心の排水部の周りにはうまく収まっていないようだ。

それに、メーカーの工事手順書をみるともっと大きな砂利で排水部を取り囲むような図が出ている。やはり後から、細かい砕石をちょこちょこと蒔いてもだめで、きちんと排水部の周りを排水しやすい環境にすべきなのではないだろうか。「山間部で水はけが良い土壌」という思い込み。思い込みというのは、実験をしくじる一番の原因なのである。

 

 

 

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2012年02月21日 09:19に投稿されたエントリーのページです。

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