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食品の放射線検査をやってきた

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今年は家庭菜園でできた野菜も何となく敬遠していたのだが、単に恐れているだけではしょうがないので、どこかで線量をチェックできないものかと探していた。

webで調べると、市で食品の線量検査サービスを5月から始めたことが分かったので、早速申し込んだ。

お一人様2点限りというので、空間線量の高いところに植わっていた梅と、屋上家庭菜園のレタスを測ることにした。しかし、梅はほとんで実が落ちてしまって、残ったものを集めて種を除くと、サンプル量(1kg)に達しないので、急遽玄関近くに植えてあるアップルミントに変更した。

検体を1kg、細かく刻んで持ってこいというのだが、これがかなり大変だ。家庭菜園で根菜を除いて1kg採れるものなんて、なかなかない。ちなみにアップルミントはこの写真に写っている葉を全部刈り取ってやっと1kg。

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(検体作製中は写真を撮る時間がなかったので、残りものを撮った写真です)

  それと、餃子の具くらいに細かく刻めというのだが、最初包丁を使っていたらとても予約時間には間に合いそうもないので、フードプロセッサーに変更。フードプロセッサーにすると、今度は細かく刻みすぎてしまって汁が出てしまうんですね。
厚労省の試験法(後述)でも「液体の試料はそのまま、固体の試料は、予めハサミ、カッター、包丁等で細切りした後、全体を均一に混和し、設定された容量を機器校正に用いたものと同じ測定容器に予め重量を測定してから充填する 」と書いてあるだけ。
検体の前処理という重要なステップをシロウトまかせにするというのは、かなり問題だ。前処理のやりかたで随分測定値が変わってしまうから、シロウトにやらせるのであれば、きちんと指針を示すべきである(例えば雨の日は、どうしても水分が多くなるので値が低く出る)。

測定も1検体あたり30分かかるので、たった1回の測定値が示されるだけだ。測定をやっている白衣を着たお姉さんに、「機器の較正やっているの」と尋ねたら怪訝な顔をしていたが、一応、厚労省のホームページにいくと「食品中の放射性物質の試験法について」(平成24年3月15日厚生労働省食品安全部長通知」という指針や4月1日からの新たな基準値についてダウンロードできるようにはなっている。
 

 

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さて、測定結果だが、
屋上菜園のレタスはセシウム134と137の合計が12.5ベクレル/kgであったのに対し、アップルミントは49ベクレル/kgとかなり高い。空間線量は地表で、それぞれ0.1マイクローベルト/時と0.19マイクロシーベルト/時。屋上菜園は去年の連休前に、全ての土を入れ替えたのが良かったのかもしれない。

まあ、化学系の学生が研究室に入ってまず叩き込まれるのは、「較正もせずに分析機器の値を信ずるな!」ということ。現在、漁協や農協で食品用放射線測定器を買って測定しているところも結構あるようだが、どこまできちんと手順を踏んでいるのだろうか。勘所だけははずさないようにしてもらいたいものだ。まあ、傾向をみるだけといわれればそれまでだが、食の駅などはその値で安全だといって売っているところまあるわけですからねえ。

分析機器は値が数値で表示されるだけに、その値を信じこみやすいので注意が必要だ。

 

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2012年07月24日 07:40に投稿されたエントリーのページです。

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