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韮崎サイコロ小屋訪問記 その1

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榛名からの帰りに八ヶ岳の山麓を回って韮崎サイコロ小屋を訪問した。正面に富士山、裏には八ヶ岳連峰、東に奥秩父、西に南アルプスを望むという羨ましい環境だ。

製作に長期間を要したという窓枠も大分入り、何か落ち着きというか貫禄さえ感じさせる。

 

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 大工や建具屋の方法をなぞらない

中に入って二階吹き抜け部分。広く開けた窓から、隣家に邪魔されることなく正面に富士山を見ることができる。左の部分は、将来的に作るバルコニーへの出入口だろうか。柱に塗った柿渋がアクセントになっていますね。

 

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天井まで届く作り付けの本棚。

 

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径10mm長さ50mmのダボ(矢印)が、側面の板を貫いて棚板を頑丈に支えている。
中を見ていると、そこら中に色々な工夫がしてあって段々楽しくなってくる。

 

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その楽しさの理由は、この階段に象徴的に現れている。
saikoroさんの作品には「大工や建具屋のやり方なんか、なぞらないぞ」というなかなかアッパレな「意思」が感じられるのである。

我々セルフビルダーはややもすると、大工や建具屋のやり方をなぞりがちであるが、それでは年季の入った彼らには敵わず、最初から負けなのだ。誰がこんな箱の上に板を載せて階段を作るなんて考えつくだろうか。おまけに箱はそのまま収納スペースになるのだから実に愉快だ。

 

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さて、ここからは窓枠の話。なんと15もある窓枠をすべてご自分でお作りになってしまったのだからすごい。 普通だったらホゾとホゾ穴を掘ったりするのだが、それを相欠き接ぎと接着剤、ネジ止めでこなしている。ご本人もブログで書いているように、建具は直角を出すのが大変だ。

 

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ガラスを止める桟も準備できているので、大物のデッキ前の窓枠とあといくつかの窓枠にガラスを入れれば、今年中には何とか窓枠部分が全て完成するという。

矢印で示したガラスの入る面(ツラ)が、相欠きの高さと同じという、なかなかよいアイディア。

 

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このデッキ前の窓枠は上下につけたアングル(矢印)で、窓が全面開放するような構造になっている。ただし、右側は窓があるので、開き戸にするしかないのが計算違いだったようだ。

 

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上面は溝を切って下面はこのような戸車がアングル上を走る。
この大物の窓が入ると一階からの眺望が一気に良くなるだろう。

我事において後悔せず(失敗を引きずらない)

ところで、セルフビルドに失敗はつきものである。 ちょっと見ると誰に指図されることもなく、自分の好き放題にみえるセルフビルドも、何かトラブったときは、「責任は負うものであって、問うものではない」というのが不文律だ。 トラブルには100%、自分が全力で対処せねばならぬし、その他に道はない。

(どうしてこんなことに?)
(何でこんなことを・・・・・・?)

そんな後悔の腐蝕は志が高ければ高いほど大きい。ローン・ウルフ=一匹狼とはいかなくてもローン・シープ=一匹子羊くらいの心で、自分自身に対する怒りと挫折感は、苦い笑いとともに押し流す。

以前、セルフビルドのストラテジーでも触れたが、坂口安吾は、「我事に於て後悔せず、という、こういう言葉を編みださずにいられなかった宮本武蔵は常にどれくらい後悔した奴やら、この言葉の裏には武蔵の後悔が呪のように聴こえてもいる」と書いている。

一見すると、ひょうひょうと楽しげにセルフビルドをやっているsaikoroさんも、この建具作りは相当大変だったのではないだろうか。

 

コメント (4)

サイコロ:

立派なものを書いていただいて恐縮です。

みっともないことばかりで恥ずかしいです。

ひょうひょうとは遠く、反省ばかりです。

この不出来な窓を作るのに、何回通ったことやら。往復するのに、ガソリン代と高速代で一万円近くなります。

アルミサッシでやるべきだったと泣き言を言ってます、今でも。

隙間だらけ、何とか平面を保って、ガラスが入っただけでもましだったか。複層ガラスは、2年たっても結露してないので、これは助かりました。

建具屋さんはすごい、というのが結論です。

yum:

saikoroさま

私だったら、途中で諦めて放り出していたかもしれません。

これだけ頑張ると、愛着もひとしおですね。

shin:

久しぶりにsaikoroさんの元気な姿拝見しました
本に囲まれ良い感じでお住まいです
Be-windowを採用頂けなかったのは残念ですが、セルフビルダー皆様なりの考えですね

yum:

shinさま

お久しぶりです。
アイディア満載の、とても楽しい家でありました。

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2012年10月19日 09:22に投稿されたエントリーのページです。

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