一時帰宅の数日後、本格的な退院の手続きがあります。
それは栄養士にカミさんと一緒に食堂に呼ばれて、自宅での食事指導でいよいよ退院の実感が湧いてきます。
この時の栄養士の若い女性は、有り難いことに酒好きのようで、毎日でもビール小瓶一本くらいなら大丈夫ですよと、この言葉を聞いた途端、それまで付きまとっていた酒を飲みたいという欲求が、「飲んでも良いと言うなら、飲まなくてもいいでしょ」という声が体から聞こえてきて、酒の欲求が嘘のように消えていったのが分かりました。
私をいつも困らせていたへそ曲がりの神に、この時ほど感謝したことはありません。
私の退院記念日は7月20日でした。
この後、三ヶ月ほどは通いでリハビリ訓練を受け、入院時に介護タクシーの運転手が言っていた他県からの入院希望者が殺到しているという評判は、あながち間違いではなかったのではと感じています。