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あほーざんす

totr01

モノをどう取り扱ったら良いかは、そのモノが自ずと示している(示すべきだ)というのが、インタフェースのデザインで重要なアフォーダンス(affordance)の考え方だ。


もともとは知覚心理学者J.ギブソン・・・というのが、好きな方はそちらをお読みいただくとして、
既にスイッチの順序のところで紹介したD.A.ノーマンの「誰のためのデザイン?」で簡潔に紹介しているので、それを引用する。

 アフォーダンスは物をどう取り扱ったらよいかについての強力な手がかりを提供してくれる。ドアの押し板は押すためのもので、ノブは回すためのものだった。スロットはそこに何かを挿入するためにある。ボールは投げたりはずませたりするためのものだ。アフォーダンスの特徴がうまく使われていれば、何をしたらよいかはちょっと見るだけでわかる。絵やラベルや説明の文章も必要ない。複雑なものには説明がいるかもしれないが、簡単なものには必要であってはならない。単純なものに絵やラベルや説明が必要であるとしたら、そのデザインは失敗なのだ。

・・・・・と前置きが長くなったが、写真は最近のTOTOのウォッシュレットのリモコンのデザインだ。カタログには「四隅にスイッチを配置して、広い範囲で操作できる形状で、デザインも一新しました。誰もが使いやすい工夫がされています」とあるが、四隅がスイッチであることがさっと分かるだろうか?
これじゃあ、『アフォーダンス』ではなく、『阿呆ざんす』じゃないだろうか。

 

totor02

マウスを画面に重ねると、 パネルを開いた状態になります。

ちなみに、こちらは以前のリモコン。スイッチは自ずとスイッチであることを主張しているし、普段あまり使わない機能は隠しておいて、必要な時だけ使えるような配慮もしてある。文字も読みやすい。

ユーザインタフェースとしては、こちらの方が数段優れていると思うのだが・・・・・・
ウォッシュレットにやたらいろんな機能を盛り込んだので、このインタフェースでは収まらなくなってしまったのだろうか。

ショールームのお姉さんに、昔のリモコンでは動かないのか尋ねると、胸を張って動きませんと答えていたが、ほんとかな。今度試してみよう。 

コメント (6)

go-shiyo:

yumさま

配置的にはそんなに悪いとは感じません(美しいとも思いませんが)。しかし、一般にこのようなフイルムスイッチは、おうとつが無いためかスイッチと認識するまで時間がかかるようです。もっと盛り上がったボタン状にすれば、スイッチ然となるのでしょうが、耐久性やコストの問題!我々ユーザがその部分のコストを支払う意識が無い限り改善されない気がします。
勿論、一定のコストのなかで最大限工夫するメーカの姿勢を問うことは当然であり、メーカもそうするべきであると考えます。

私は家ではマック、会社では窓族(窓際か?)です。ほとんどのものは、マックが使いやすいと感じていますけど、今使っているapple Mighty Mouseは、使い易いとは言い切れません。それは、左右のボタンが表面にあるわけでなくて、マウス全体の傾斜で左右を感知しているため、ハッキリと左右が感知されない時があります。
手持ちのマイクロソフトのコード付き2ボタンマウスの方が、よほどスムーズに反応するのが皮肉であります。

あと、銀行のCD画面案内も分かりにくいものが有ります。何とかの時はここを押してくださいと書かれているので、そこを押すと無反応でさらに下の方に本当のボタンが有ったりして紛らわしい!....でも一番紛らわしいのは銀行の名前で、手元の振込み先の印刷物とはとっくに名前が変わっていて、どこだ?統廃合一覧でも張っておいて欲しい!

失礼いたしました。

yum:

go-shiyoさま

これは、フイルムスイッチでもないんです(言葉で説明するのは難しいので実物をご覧いただくよりないですが・・・・・・)。どう見たって俺様はスイッチだぞと主張しているのは、中央のサブカテゴリーのスイッチなんですね。

銀行のCDは色々問題がありますね。冬は特にタッチスクリーンが静電気のせいでうまく反応しなかったり。CDの順番を待っているときに、大勢の人間がCDの無機的な声に操られ、ひたすら入力をしている姿をみると目眩を感じます。

nak:

我が家はInaxですが、同じ時期の製品で、Totoと同じでふたを開けるとその他の機能が使えるタイプです。(デザインセンスはTotoの方が良いです)
使っている人から苦情があったから、改良したのではなく、商品に目新しさを加えるために作られたものとしか思えませんね。
客が前のパネルを使えるような選択肢が用意できれば、一流企業でしょうか。
詳細までよく調べてから、メーカーを選択すべきという教訓、有難うございます。
その上に、タイトルが気に入りました。

yum:

nakさま

私の友人のところでは、リフォームでトイレを新しくした直後、おばあさんがトイレからなかなか出てこないので、心配して行ってみたら、途方にくれていたとのことであります。やはりサブカテゴリーのところを押していたようです。

私のような老人になると、サブカテゴリーの文字はちょっとつらいですね。かといって、あの老人用のプッシュホンとかリモコンのスイッチのように文字を大きくすると、これまた収まりが悪い。どの位にするかのバランスが重要ですね。

あと、サブカテゴリーのメニューも「水勢」「洗浄位置」というのがそれぞれ「水」「勢」「洗浄」「位置」で分かれると一瞬考えてしまいます。

kass:

以前日産のプリメーラが車内のスイッチをほぼ左右対称に配置してハイセンスさをアピールしたところ、多くの試乗記で「左右対称のスイッチ類が分かりづらい」と評されてました。
ハイセンスを謳おうとするとなぜ左右対称になるのかが素人には分かりかねます。

あと、「リモコンにすべての機能を集約する必要があるのか?」という点も気になりますね。
以前イタリア製のオーディオ機器のリモコンで、音量の+と-ボタンしかないのを見ましたが、これはオーディオファンの動線を完全に理解しているという自信から来る潔さだと感じました。

日本で一番インタフェースに神経を使っているメーカーは任天堂だと思います。


yum:

kass さま

車のインタフェースで良くでてくるのは、ベンツの座席の調節機能ですね。私は恥ずかしながら良い車に乗ったことがなかったので、最初あのスイッチが座席の形をしているというのが分かりませんでした。

>「リモコンにすべての機能を集約する必要があるのか?」
というのは、確かにその通りだと思います。+と-しかないイタリアのオーディオ機器のリモコンというのは凄い。

逆にテレビの調節などは、リモコンにしか無い機能があって、時々リモコンをどこかに置き忘れると困ったことになります。
テレビのリモコンも何やらいっぱいボタンがあって分かりにくいし、それに輪をかけたのがDVDのリモコンですね。

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2008年05月26日 07:00に投稿されたエントリーのページです。

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