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透明なネズミ・・・・・・そして、ユーザインタフェースの未来



1960年代のはじめくらいまで、コンピュータに仕事をさせるには、キーボードから文字を打ち込むか、パンチカードに予め打ち込んだプログラムを読み込ませるかしかなかった。

そんな時代にあって1961年にダグラス・エンゲルバート氏が開発したマウスは、時代を超越しすぎていて、なかなか世の中に受け入れられなかった。世の中に受け入れられるようになってしばらくたった1968年、エンゲルバート氏がサンフランシスコで行ったデモンストレーションは伝説のデモンストレーションとさえいわれている。

そして橋の下を沢山の水が流れて、マウスはローラー式からオプティカル方式、ワイヤレス方式と進化を遂げたが、更に機械的なユーザインタフェースの呪縛を解きはなったマウスレスというインタフェースが登場した。赤外線レーザー光線とカメラを使って指の動きを検出し、それをコンピュータのコマンドに変換しているのだ。このアニメを使ったプレゼン用のビデオは実にしゃれていますね。

とても愉快なプロジェクトだが製品化される可能性はないだろうと言われている。

現在、マウスの価格は安いし、ユーザインタフェースもタッチスクリーンや音声認識といったもっと新しいものが開発されつつあるからだ。偉大なる無駄が科学を発展させるのだ。




MITのメディアラボでこのプロジェクトを率いるのは、インド生まれの若き研究者Pranav Mistry氏だ。

彼は以前、トム・クルーズの映画『マイノリティ・レポート』に出て来たようなジェスチャーで操作するインターフェース、『Six Sense』プロジェクトで有名になった人物だ。

彼は2009年11月インドのマイソールで行ったTEDの講演会で「モノやジェスチャーに対する私たちの知識や、実生活でモノをどう使うかということが、デジタル世界をよりよくするために役立てられないだろうか。キーボードやマウスを使う代わりに日常的なジェスチャーで使うことができないだろうか」と早くから考えていたと述べている。要するに機械に使われるのではなく、もっと直感的なユーザフレンドリーなインタフェースを目指したということですね。

私は最近電車に乗ると、老いも若きも一心不乱に携帯を取り出してメールを打っている風景を見て、違和感とも怒りともいう気持ちがこみ上げてくるのを感じていたが、それがどこからくるのか再認識した。
あれはヒトが機械に使われている風景。ヒトが機械の奴隷になっている風景だ。ついでに言えば、windowsのコンピュータを使いexcelで表計算し、wordで文章を書き、powerpointでプレゼンしたら、これはもうBIll Gatesの奴隷です。

え〜と、何の話でしたっけ。そうそう、あんな非人間的なインタフェースに慣れてしまってはいけない。不便なインタフェースには真正面からNOをつきつけなければいけないのだ。
彼は講演の最後に「身の回りのモノに情報を統合することでこれら2つの世界の溝を埋め、デジタルデバイドを無くせるだけでなく、もっと身の回りの世界と繋がり、もっと人間らしく生きられるようになると思います」といっている。開発したソフトウエアはオープンソースで即座に公開するというのだから、これからが楽しみだ。会場でスタンディング・オベーションが見られるのも当然だろう。

(view subtitlesでjapaneseを選ぶと日本語字幕がでます)



 


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2010年07月14日 07:59に投稿されたエントリーのページです。

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